Blood Fairy
第3章





シュレイルがやってきたのは森の中の小さな小屋だった。

鬱蒼とした闇夜の森の中に、一光を放つ小さなボロ屋だった。



コンコン・・・



木製の廉い作りの扉をノックすると、背の低い髭面の老爺が現れた。



老爺『誰じゃ、こんな夜中に。 おお、シュレイルか。』

シュレイル『ああ、夜分にすまぬ。 ちと頼みがあってな。』



老爺は小屋の中へとシュレイルを招き入れた。

この老爺はウィケットという此処らでは名の知れた魔術師。

そんな彼を頼ってシュレイルはやってきたのだった。



ウィケット『成程、シャロン軍の進軍を阻止したいと申すのか。』

シュレイル『ああ。 夜が明ければやつらが城にやってきてしまう。』

ウィケット『それでこのワシの力を借りに来たのだな?』

シュレイル『そうだ。 夜明けまでに何とかしなければならぬのでな。』

ウィケット『で、ワシは何をすれば?』

シュレイル『それなんだが、俺にいい案があるんだ。』



俺は自分の考えをウィケットに伝えた。

その策を聞いて、彼はニヤリと怪しく笑んだ。





その後、俺は急いで城に戻った。

もう準備は整った。あとは時を待つだけだ。

俺は城内の兵に作戦を伝え、装備をさせる。

辺りは徐々に夜が明けつつある。

東の空に、明光が射して来た。

態勢は整った。

城の全兵を引率し、城外にて編隊を組む。



シュレイル『分かったな、今言った通りにすれば奴等は必ず撤退する。』

親衛隊長『しかし、本当にそのような策で上手くいくだろうか。』

シュレイル『案ずるな、張子の虎も使いようによっては役に立つものだ。』

親衛隊長『我が軍勢はシャロン軍の半分もないのだぞ。』

シュレイル『それだけあれば十分だ。 虎の威を借りるのだからな。』



シュレイルは、自信に満ちていた。

愈々明るくなる空が、まさに自分の心理状態を暗示しているかのようだった。



時はやってきた。

朝もやの中、シャロン軍が遠方よりやってくるのが確認できる。



シュレイル『愈々だな。』

親衛隊長『本当に大丈夫なのだろうな?』

シュレイル『大丈夫だ。 今頃はウィケットがやってくれているはずだ。』

親衛隊長『ウィケットだと? ああ、あの森の魔術師か。』

シュレイル『そうだ。 彼に全てを託したのだ。』



シュレイルは笑みを浮かべ、遠方より来たるシャロン軍を見つめていた。

その自信に満ちた横顔に、親衛隊長始め、軍全体が心強くなり士気が上がった。

もやに包まれ、揺れ動くシャロンの軍勢は、幻のようだった。

太陽は地平線より顔を出し、その姿をアンベルクの軍勢に見せてくれた。

それは勝気を帯びたかのような、力強い光だった・・・。





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