お風呂のじかん


 それから程なく、全員の料理がそろいました。
みんなでいただきますをして食べます。

美羽「お、この肉うめー!」
千佳「このハンバーグもおいしいよ」
茉莉「うん、おいしいね」
雅博「僕のヒレカツもおいしい〜」
信恵「おいしいおいしいって…ファミレスでそれだけ満足できるなんておまえら幸せだな」

信姉はみんなの笑顔を見てそう思ったのです。
美味しい物を食べてる時の幸せそうな顔。
それを見るのは雅博も好きなのでした。
雅博は隣の千佳の嬉しそうな顔を、横目でチラチラ見ていたのです。

信恵「ところであんた浜松に住んでるのか?」
雅博「うん、今はね。 でも実家は県内だけど東部の方だよ」
千佳「へぇ〜、そうだったんだ。 お兄ちゃんって静岡県出身だったんだね」
雅博「うん、だからみんなと一緒なんだよ」
美羽「えー?」
雅博「『えー?』って何よ……」
信恵「東部か。 それじゃあ通いも無理だもんな」
雅博「そうなんだ。 新幹線使っても2時間近くかかるからね」
千佳「そんなに遠いんだ。 私東はあまり行かないからあっちの方あまり分かんないんだよね」
雅博「僕もこっちに来るまでは浜松ってどういうとこか分からなかったんだ」
信恵「浜松の街はどうだ?」
雅博「そうだね、かなり住みやすい街だよね」
美羽「またまた〜、そんなこと言っちゃって〜」
信恵「お前は黙って食ってろ」
美羽「…はい」

雅博の大学での話や身の上話をしているとみんな食べ終わったようです。
きりのいいところで切り上げてレストランを出ました。
お金は信恵がお母さんから貰っていたお金を払いました。
雅博も自分のお金を出そうとしましたが、信恵や千佳に言われてご馳走になることにしました
そして一行は、来た道を戻り千佳の家へ帰ってきました。
5人全員、千佳の部屋に集合です。

信恵「あ〜、疲れたな〜」
美羽「お姉ちゃん情けないぞ!」
信恵「ああ、あたしはもうお前らみたいに若くないからな」
茉莉「え? お姉ちゃんまだ若いでしょ?」
信恵「16なんて小学生から見れば十分おばさんでしょ?」
雅博「信恵ちゃんがそれじゃあ…僕はどうなるの…?」
美羽「……おじいさん」
信恵「…だな」
雅博「そ、そんな……」
信恵「ってか信恵ちゃんって呼び方やめてくれ」
雅博「え、じゃあ何て呼べばいい?」
信恵「そうだな…ちゃん付けじゃなきゃ別に何でも」
千佳「じゃあお姉ちゃんでいいんじゃない?」
美羽「年下なのにお姉ちゃんか…」
雅博「何か変な感じだけど…まあそれでいいかな?」
信恵「ああ、あたしは別に構わん」
雅博「じゃあこれからはお姉ちゃんって呼ぶよ?」
信恵「ああ、好きにしてくれ」

こうして無事にお姉ちゃんの呼び方も決まりました。
そしていい気分で雅博が部屋をぐるりと見渡すと可愛らしい時計がもう8時を指していました。

信恵「お? もうこんな時間か。 それじゃあ風呂湧いてるから誰でも入っていいぞ」
千佳「私は後でいいよ」
雅博「あ、僕も後でいいよ」
信恵「なんだ、遠慮深いやつらだな。 じゃあみんなで一緒に入るか?」
雅博「えっ!!」
千佳「いや全員は入れんだろ…」
雅博「だ、だよね…」
美羽「本当は一緒に入りたかったんだろ?」
雅博「え? べ、別にそんなことないよ…」
信恵「残念だったな」
雅博「だから別にそんなこと無いって……」
信恵「まあいいや。 じゃあ茉莉ちゃん、一緒に入る?」
茉莉「え、う、うん…」
美羽「あー、あたしも一緒に入る」
信恵「お前はダメだ」
美羽「えー? どうして?」
信恵「お前がいると何するかわからんからな。 第一同時に3人も入れるほどうちの風呂は広くない」
美羽「う〜〜」
信恵「じゃああたし達は先入ってくるよ」

そう言うと信恵と茉莉ちゃんは部屋を出て行きました。
残された雅博と千佳と美羽。

美羽「じゃああたしはお兄ちゃんと入る」
千佳「…は?」
雅博「え…?」
美羽「だからお兄ちゃんとお風呂入るから」
雅博「……マジ?」
美羽「うん、マジ」

美羽の目は冗談を言っているようには見えませんでした。
本気で雅博と入ろうとしているのでしょうか。

美羽「ちぃちゃんも一緒に入る?」
千佳「えっ…!? わ、私はいいよ、入らないよ」
美羽「そっか……ちぃちゃんちお風呂2人が限界だもんね」
千佳「……」
雅博「………」

美羽が一緒に入ると言ってなんだか気まずくなってしまった雅博。
ちらちらと千佳の方を見ています。
美羽と一緒にお風呂に入ることになったのを千佳がどう思ってるのか気になるようです。
千佳は些か落ち着かない様子でマンガを読んでいます。
夜はまだ始まったばかりなのです……。


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