運命の再会


名雪「本当に…祐一…なんだね……」
祐一「そうさ。 だって…約束したじゃないか……」
名雪「覚えててくれたんだ…」
祐一「勿論。 一日だって忘れたことはなかったさ…」

 静かな駅前に、二人の再会の灯火が灯される。

祐一「もうあれから7年も経つんだな…」
名雪「うん……」
祐一「懐かしいなぁ…あの頃…」
名雪「そうだね……。 それよりそろそろ行かない? 寒いし…」
祐一「あ、ああ、そうだな」

 冬空に舞う牡丹雪。
 二人は雪の中を歩き出した。

名雪「ここ、覚えてる? 夏になると一緒に魚捕りしたよね」
祐一「そうだったか?」
名雪「覚えてないの? まあいいけど…」

 嘗て遊んだ小川に、大粒の雪が落ちては消える。

名雪「私ね、あれからずっと考えてたんだ…」
祐一「何を…?」
名雪「もう一度会えないかな〜って……」
祐一「………」
名雪「それが今日、やっと実現したんだね……」
祐一「ああ…」

 二人の想い出の語らいに、余韻が残る。

名雪「……」
祐一「………」
名雪「何か話してよ」
祐一「お前が話せよ…」
名雪「……」
祐一「………」

 歩きながら、お互いの顔を伺っている。
 7年という歳月は、意外にも長かった…。


      * * *


名雪「ただいま〜」

名雪の家に俺はやってきた。
7年前と何ら変わりが無い。
その不変の姿に、俺は心の中で安堵の息を漏らした。

女性「おかえりなさい」

俺たちを出迎えたのは見覚えのある女性だった。
名雪の母、秋子さんだ。
当時は俺もかなりお世話になっている。
その姿は、当時と殆ど変わりない。

秋子「お久しぶりね、祐ちゃん」

にっこりと微笑んで俺に話しかけてくる。
その声に俺は一瞬で当時の俺に戻っていた気がした。

祐一「お久しぶりです。 秋子さん、全然お変わりないですね」
秋子「あら、祐ちゃんってば…。 お世辞言っても何も出ないわよ」

秋子さんは昔からこういう人だった。
娘同様ちょっと天然が入っていて憎めない人。
それが秋子さん、不思議な女性である。

秋子「あ〜、そうそう、荷物、届いてるわよ」
祐一「あ、すみません」

見ると廊下にはずらりとダンボールが並べられていた。
これを俺は全部向こうの家から持ってきたのか…。
すごいな…ゆうに10箱はあるだろう。

秋子「2階に空いてる部屋があるからそこ使っていいからね」
祐一「は〜い」
秋子「それじゃあ名雪、案内してあげて」
名雪「うん」

俺は名雪に連れられて2階へと向かって行った。



        
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