闇と光の扉を

 海の見える丘は、私だけのヒミツの場所。
髪をやさしく撫でる風が、とてもキレイで爽やかな午後。
私はやさしい香りの丘の草の上に寝そべって、空を見上げていた。
大好きなワルツ調の音楽を口ずさんで。
こうしているだけで、幸せになれる。
この瞬間が、私の大切な宝物。
小鳥たちが大空で、楽しそうにワルツを踊っていた。

ローズウェル魔法学校を卒業した私は、母の営む魔法屋を手伝っている。
決して大きなお店ではないけれど、お婆ちゃんの代から続く伝統のお店。
小ぢんまりした店内には魔法生成の為の薬品や材料が所狭しとずらりと。
白魔術の材料を求め、常連の魔術師が今日も来ていた。
 「こんにちは、シュレインさん」
 「お、おチビちゃん、元気そうだな」
この人シュレインさん。
有名な魔術師で普段は放浪の旅をしているんだとか。
たまにこの町に帰ってきては顔を出してくれる常連さん。
今日も手乗りモンスターのピグフィンがシュレインさんの肩で踊ってる。
本当にシュレインさんとピグフィンは仲がいいんだね。
私は自然と笑顔になっていた。
そんなことを思っていると、お母さんの私を呼ぶ声が聞こえた。
 「リリィ、バームフェルトの実を拾ってきてくれる?」
いつものお遣いだ。
 「いいけど、ちゃんとお駄賃ちょうだいよ?」
 「はいはい、今度はちゃんとあげますよ」
お母さんとシュレインさんは可笑しそうに笑った。
忙しなく動き回るピグフィンさえも笑っているように見えた。
 「じゃ、行って来るね」
 「気をつけてね、最近は魔物が多いみたいだから」
背中で返事をして、私はハーブの薫るお店を後にした。

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