自由愛その先に

 「んふふ〜……」
 「どうした? 何がそんなに嬉しいんだ?」
俺の横で満面の笑みを浮かべている絵美。
小学六年生の俺の妹だ。
俺まで嬉しくなって話しかけてみた。
 「んとね、よしゆき君に告白されちゃったんだ〜」
絵美は嬉しそうに言った。
 「よしゆき…って……もしかして…」
 「うん、私の好きな子だよ。片思いだと思ってたのに両思いだった
  んだ〜」
牛革製のソファに座って足をパタパタさせる絵美。
その絵美の笑顔に、俺は胸を押しつぶされる感じがした。
絵美に彼氏ができた?
そして突然のことに、俺は胸の内が爆発する思いを感じていた。
 「それでね、私たち付き合うことにしたんだよ〜」
絵美の笑顔は見たくなかった…。
己を抑えるのに必死で、テレビの音が全く聴こえてこない。
そんな俺を知らずに、絵美は甘い声で俺に惚気る。
 「今度の日曜にデートするんだよ〜、嬉しいなぁ〜」
その言葉に、俺の理性は完全に失われた。
 「絵美! それは許さない!」
 「ほぇ…?」
俺のいきなりの怒声に、絵美は呆気にとられていた。
 「絵美はお兄ちゃんのこと嫌いなのかよ!?」。
俺は語気を強め、己の爆発した胸の内を絵美にぶつけていた。
 「え、えっ?私お兄ちゃん嫌いじゃないよ?どうしたの?急に…」
一変して戸惑う絵美。
俺は自分が今まで分からなかった…。
けれども、絵美の言葉で俺は自分の本心が漸く判った…。

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