そんなある日のことです。
今日も獲物を探して川べりを泳いでいました。
すると、どこからか白いワニの子を呼ぶ声が聞こえてきました。

「あなたはよく見かけるけどどうして白くなってしまったの?」

それは青と黄色い色をしたキレイなインコでした。
川べりの木の枝に止まっています。
白いワニの子は、自分でもどうして白くなったのかは分かりません。
むしろ自分が教えてもらいたいくらいです。

「それは僕にも分からないんだ。 僕はどうしてこんな色をしているのだろう…」
「それは神様があなたを白くしたからだと思うわ」
「どうして神様は僕にこんないじわるをするの?」
「いじわるではないわ。 これはあなただけが選ばれた道なのよ」
「こんなの嫌だよ。 食べられなくてひもじいよ…」
「あなたは他の動物たちに自分の存在を示して逃げる時間をあげられる、素晴らしいことだわ!」
「でも何も食べられなかったら僕は死んでしまうよ…」
「では川の上流に行ってごらんなさい。 おいしい木の実が落ちているわ」
「僕は木の実なんて食べられないよ」
「食べなかったらあなたは死んでしまうわ。 あなはた他のワニとは違うの。 だから木の実だって何だって食べられるのよ」
「そうかな…じゃあ木の実を食べてみようかな…」
「うん、応援してるわ、神様はいつでもあなたを見守ってるから…」

青と黄色のインコに言われたとおり、川の上流に行ってみますとそこには見たことも無い虹色の木の実が落ちていました。
その数というのは星の数ほどあるように思えました。
そして恐る恐るその木の実を食べてみると、何とそれは鹿肉の味でした。
ずっと食べたいと思っていた鹿肉の味。
そう、これは食べたいと思う物の味がする不思議な木の実だったのです。
それからというもの白いワニの子は、毎日おいしい木の実を食べて幸せに暮らしました。

             

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