虹色の木の実
「ワニがやってきたぞ、いそげいそげ」
「白い大きなワニだ、食べられる前に逃げろ」
川原で遊んでいたウリ坊たちが、騒いでいます。
ワニがやってきたようです。
川の中にはもうすぐそこまで白いかたまりがやってきていました。
それはまるでユキウサギのような真っ白いワニでした。
真っ白なワニは、勢いよく陸に乗り上げました。
けれども、そこにはもうウリ坊たちはいませんでした。
「やーいやーいワニ、こっちまで来れるかな」
「白いワニめ。 食べられるもんなら食べてみろ」
ウリ坊たちは白いワニをからかいました。
そして面白そうにして藪の中に消えていきました。
真っ白いワニは、がっくりと肩を落としていました。
(なんだって僕はこんな色をしているのだろう…
これじゃあ獲物がみんな逃げてしまうよ……)
白いワニの子は、悲しくなって泣いていました。
体の色が白いことで、獲物にもすぐに見つかってしまいます。
ワニの子は、もうとてもお腹がすいて倒れてしまいそうでした。
もうここ3日間何も食べていません。
こういうことはよくあります。
この前なんて1週間何も食べられなかったこともありました。
これも全部体が白いからいけないのです。
ワニの子は、自分の体が白いことをいつも気にかけていました。
今日も獲物を逃し、とぼとぼと川の中へと帰っていきました。
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