闇の愛情

 「ごめんね、お姉ちゃん…心配かけて……」
目の前にいるのは妹の留美。
風邪で2日間寝込んでいる。
「食べたいものがあったら言ってね」
「うん……」
ずっとお粥ばかり食べている留美が不憫でならない。
私は留美に精一杯の愛情を注ぐ。
高熱を出し、寝込んでいる留美は今、私なくして生きてゆけない。
小動物の弱々しさが、私の本能を刺激する。
時々私は悪魔に襲われる。
人間の死というものを強く意識してしまう。
今も目の前の留美の首を締めたらどうなるか、と考えたりしていた…。
恐ろしい私の心の奥底に潜む何か。
決してする気は無いが、一分間も首を締めていればもう留美という人格はなくなってしまう。
それが不思議で、儚くて、時々泣くこともある。
私のたった一人の留美が、いなくなるのは怖い。
だから私は精一杯の愛情を注いでいる。
私の闇から逃れるように、意識しないで済むように。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「え? ううん、なんでもないよ…」
留美には知られてはならない私の闇。
時々現れる私に、私自身も困惑していたのだった…。

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