Blood Fairy
第1章





・・・・・・水の音が聴こえる・・・・・・。

白い朝もやに、囲まれた世界に、水の音が聴こえる・・・。







目が覚めると、そこには小さな泉があった・・・。

俺はどうしたのだろうか・・・。

確か、アンベルク城の王に謁見する為にハメルンの町を出た。

そこまでは覚えている・・・。

その後、この森に差し掛かったところで記憶を失った・・・。

俺は鉛のように重い体を起こし、体の具合を確認する。

どうやら怪我はしていないらしい。

辺りを見回すが、愛馬ルシオンの姿は見当たらない。

どうしたのだろうか・・・。

取り敢えずその場に立ち上がり、深い溜息を吐く。

「ふぅ〜・・・まだ頭がクラクラするな・・・」

俺は泉の透き通る水を手で掬い、一気に飲み干す。



   ゴクッゴクッゴクッ・・・



「はぁ〜、生き返るなぁ・・・」

体中に力が漲るような気分になる。

俺はまずはルシオンを捜すことにした。

散らばっていた荷を掻き集め、麻袋に放り込む。

準備を整え、遠くに見える大岩を目指して進む。



先日、恐れていた事態がついに起こった。

アンベルクと対立していたシャロン軍が進軍してきたのだ。

混沌渦巻く時勢に、どの国もいきり立ってしまっている。

其々の国が、自国の兵力を誇示するように挙って戦争をするようになった。

アンベルクも例外ではない。

王は炯々(けいけい)として、己の自尊心を満たすべく軍備を整えていた。

そこへシャロン軍が進軍してきたと報告を受け、シュレイルも召還された。

そう、彼はシュレイル。この地方でも名高い騎士である。

そんな道中のことであった。



大岩に到達したシュレイルは、森を一望する。

鬱蒼とした森の所々に、木洩れ日が射して何とも幻想的な世界が広がる。

と、はるか向こうの開けた場所に愛馬ルシオンのいるのが見えた。

シュレイルは敏捷な動きでルシオンの元に向かった。




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