・・・・・・水の音が聴こえる・・・・・・。 白い朝もやに、囲まれた世界に、水の音が聴こえる・・・。 目が覚めると、そこには小さな泉があった・・・。 俺はどうしたのだろうか・・・。 確か、アンベルク城の王に謁見する為にハメルンの町を出た。 そこまでは覚えている・・・。 その後、この森に差し掛かったところで記憶を失った・・・。 俺は鉛のように重い体を起こし、体の具合を確認する。 どうやら怪我はしていないらしい。 辺りを見回すが、愛馬ルシオンの姿は見当たらない。 どうしたのだろうか・・・。 取り敢えずその場に立ち上がり、深い溜息を吐く。 「ふぅ〜・・・まだ頭がクラクラするな・・・」 俺は泉の透き通る水を手で掬い、一気に飲み干す。 ゴクッゴクッゴクッ・・・ 「はぁ〜、生き返るなぁ・・・」 体中に力が漲るような気分になる。 俺はまずはルシオンを捜すことにした。 散らばっていた荷を掻き集め、麻袋に放り込む。 準備を整え、遠くに見える大岩を目指して進む。 先日、恐れていた事態がついに起こった。 アンベルクと対立していたシャロン軍が進軍してきたのだ。 混沌渦巻く時勢に、どの国もいきり立ってしまっている。 其々の国が、自国の兵力を誇示するように挙って戦争をするようになった。 アンベルクも例外ではない。 王は炯々(けいけい)として、己の自尊心を満たすべく軍備を整えていた。 そこへシャロン軍が進軍してきたと報告を受け、シュレイルも召還された。 そう、彼はシュレイル。この地方でも名高い騎士である。 そんな道中のことであった。 大岩に到達したシュレイルは、森を一望する。 鬱蒼とした森の所々に、木洩れ日が射して何とも幻想的な世界が広がる。 と、はるか向こうの開けた場所に愛馬ルシオンのいるのが見えた。 シュレイルは敏捷な動きでルシオンの元に向かった。
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