桜のように

 最近は何故か、よく小学校の時のことを思い出す。

 あの日、卒業式の日のこと。
小学校生活最後のこの日、僕は今まで想いを寄せていたクラスの女の子に告白をすることにしていた。
5年生のクラス替えで同じクラスになった女の子。
初めて見た時に僕は衝撃を受けた。
それまでに好きになった女の子は何人かいたが、彼女はその誰よりも可愛く、そして好きになった。
奥手だった僕には、好きになった女の子に自分から近づくことが出来なかった。
授業中、休み時間と時あるごとに彼女を見つめていた僕。
決してバレないように、ひっそりとじっくりと。
幼心に本気で恋をしていた。
初恋ではないけど、それまでの恋がお遊びだったかのように感じるほど好きになった。
けれども彼女と遊ぶことはおろか、話すらまともにしたことが無かった。
女の子に対しては奥手だった僕には、話しかけることも困難だった。
そして月日は流れ、卒業の季節。
僕はそれまでのもやもやを拭い去るように、意を決して告白することに決めたのだ。

 校舎の4階の図書室の前。
友達経由でここに彼女を呼び出し、そして目の前にいる彼女。
状況から考えて大方これからの展開が読めているものと思う。
誰もいなくなった校舎に、僕と彼女。
2人きりの空気が、嬉しかった。
それだけで満たされた気分になったが、意を決して告白に踏み切った。
「僕と付き合ってください…」
言えた。
奥手だった僕の、最初で最後の愛の告白の言葉。
彼女の返事が、怖かった…。

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