三年目の思い出

 あれから三年。
三度目の夏が来た。
長い時間だった…。

 俺には同じ高校に通っていた彼女がいた。
成績も優秀で聡明な彼女だった。
付き合ったきっかけは高三の時の彼女の方からの一方的なアタックだった。
それまで一度も恋愛沙汰の無かった俺にとって、ちょっと嬉しかった。
容姿は俺好みじゃないが、熱烈なアタックに押され、俺は彼女と付き合うことにした。
それからというもの、毎日一緒にいるようになると彼女は俺にとことん尽くしてくれた。
貢物もかなり貰った。
ファミレスに行けばおごってもらうことも多々あった。
俺は男として情けない部分もあるが、彼女の奉仕が余りにも強かった。
ここまで自分を必要としてくれる人は、今までに居なかった。
そしてそのうち、話も気兼ねなく話せる、本当に気楽に話せる存在になっていた。
趣味も好きなものも全然違うのに、何故か話題が尽きることはなかった。
勉強もそっちのけで、一緒にいることが多くなっていた。
けれども、高校では進路も考えなくてはいけない。
俺は三流国立大学を志望して、彼女は一流国立大学志望。
そんな知的で気の利く彼女は、俺にとって自慢の彼女だった。
付き合って三ヶ月もすると、卒業後の話も自然と出るようになっていた。 「一緒の大学には行けないけどお互い近くの大学に行こうね」、彼女は言った。
俺もそのつもりで勉強もするようになっていたのだが…。

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