BREATH
第1章





修練場は、既に熱気で溢れ返っていた。

モンスターを連れたハンター達が、互いの腕を競い合っているのである。



  『よう、暫く見なかったがどうしたんだ?』



俺に話しかけてきたのは、昔馴染みのネルソンだった。



  『おう、久しぶりだなネルソン』

  『それにそのモンスター、随分と強そうだな』

  『まあな。 俺はマスター5を受ける為にこいつらを捜してたんだ』

  『マスター5を受けるだと? 本気で言ってるのか?』

  『ああ本気だ。 ランク1(ファースト)を受ける資格ももう貰ってある』

  『お前、暫く見ないと思ったら……俺たちに内緒でそんなことしてやがったのか』



ネルソンは鼻息を荒くして俺の連れているモンスターたちを見回した。

マスター5(マスターファイブ)とは、モンスターハンターによる試合のことである。

世界中の腕に覚えのあるモンスターハンター達が、自慢のモンスター同士を競い合わせる。

世界最大の試合であり、モンスターハンターの目指す最高の栄誉でもある。

その段階にはランク1(ファースト)からランク5(エンペラー)までの5段階ある。

まずはランク1から始め、ファイティングポイントによって昇格できるシステムである。

そのランク1を受けるためにも決まった下のような資格が必要である。



 @指定闘技場での公式戦で、勝率が7割を越えること。
 A4頭のモンスターの合計レベル数が100を超えること。
 Bセントラルコロセウムのブレスドラゴンを倒すこと。



これら条件を満たした者だけが、マスター5のランク1を受けることが出来るのである。

俺は今までの修練場の生活から、放浪へと生活の場を移し、強いモンスターを捕獲してきた。

その成果をここで試そうと今日、この修練場へとやってきた。

またネルソンに俺の実力を見てもらう為でもある。

獅子吼する修練場内のモンスター達。

俺の連れている4頭のドラゴン達も、今か今かと雄叫びを上げている。

俺はマスター1候補の実力を見せ付けようとニヤリと笑った。




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