〜第1章〜



 ゴールデンウィーク目前の春の日のこと。
今年も学力テストがやってきた。
月に一度試験のあるこの学校では、4月には学力試験があるのだ。
試験終わり、5人はいつものように帰り道を一緒に歩いていた。



 土宮大介 「今日の試験は俺ダメだったわ…」
 金山雅人 「僕もダメだった…撃沈……」
 柏木健二 「2人はいつもじゃん」
 土宮大介 「おい、それは無いだろ…」
 金山雅人 「でも土宮君情報はやっぱ満点でしょ?」
 土宮大介 「当ったり前だろ、あんな子供騙し満点じゃなかったら俺死ぬわ…」
 金山雅人 「ま、そりゃそうか…」
 火向祐一 「テスト、私もあまりできなかったよ…」
 水永永示 「ウソつけよ、数学と生物以外全部満点じゃねぇかよ…」
 火向祐一 「それは出来ない部類に入るの〜」
 土宮大介 「ったく、いいよな〜、出来るやつは。 柏木さんもどうせ全部満点だろ?」
 柏木健二 「俺? 俺は違うよ、今回は満点は数学と情報しか無かった…」
 金山雅人 「え? 柏木君が? 何で…?」
 柏木健二 「いや、ここんとこモビルスーツ制作に忙しくて…」
 土宮大介 「はは、そっかそっか、柏木さんはモビル作ってたっけ」
 柏木健二 「うん、もうすぐ完成する」
 水永永示 「それは凄いなぁ…じゃあ完成したら見せてよ」
 柏木健二 「そのつもり。 ってか学校着て来るから(笑)」
 土宮大介 「いや、それはまずいだろ…流石に…」


5人の声が、駅のホームに響いていた。
ホームにいる同じ学校の生徒の視線が集まる。
1年生の女生徒数人のグループや3年生のグループ。
学年を問わず、その注目を一矢に浴びている。
もうこれにも慣れたものである。
毎日のように奇異の目で見られる。
その中には羨望の眼差しもあれば、妬心の蔑視もある。
そして5人はいつものように電車に乗り、ボックス席を陣取る。
今日も1日学校が終わったことを、ここで認識することができるのである。


 土宮大介 「今日も金山さん一人な」
 金山雅人 「な、何でいつも僕だけ一人なんだよ…」
 柏木健二 「だってここ4人しか座れないじゃん?」
 金山雅人 「だからどうして僕が仲間はずれなんだよ…たまには他の人が…」
 土宮大介 「他の人? 俺は柏木さんと話があるし、水永さんは火向さんとできてるし、そうなると残るは…」
 水永永示 「そうだぞ、君だけ残ってるジャマイカ」
 金山雅人 「か、勝手に決めないでよ…僕だってみんなと話が…」
 土宮大介 「あ〜、分かった分かった、じゃあ今度俺が一人で座るからそれでいいだろ?」
 金山雅人 「本当?」
 土宮大介 「本当だ、俺がウソつくわけないだろ?」
 柏木健二 「お〜、ダイ君優しい〜」
 水永永示 「やっぱリーダーだよね」
 火向祐一 「うん、頼りになるよね〜」


5人はいつもの帰り道を愉しんでいた。
普通と違うとは言え、彼らは高校生に過ぎない。
普段の生活は、別段普通の高校生と変わり無いのである。
他愛も無い話をして、他愛も無いイタズラもして。
そんな時を彼らは楽しんでいるのだった。


 次の日の放課後、5人は部活に精を出していた。
数学部の活動の基本はダベること。
今日もいつものようにダベりで時間を潰していた。
土宮大介は、いつものようにPCを弄りながら。


 土宮大介 「今度俺新しいサーバ運営することにしたんだけどみんなよかったら使ってみるか?」
 柏木健二 「新しいサーバ? 前のサーバはどうしたの?」
 土宮大介 「顧客がつきすぎてもうパンク寸前だから分散させようと思ってね」
 水永永示 「そうか〜、じゃあオイラも利用させてもらうかな〜」
 土宮大介 「おう、どんどん使ってくれ。 金山さんも使ってくれるよな?」
 金山雅人 「え? 僕も? 別にいいよ…」
 土宮大介 「何だよ、折角俺が使わせてやるって言ってんのに連れない奴だな」
 火向祐一 「まあまあ、マー君はそういうのあんま興味ないんだから」
 土宮大介 「そうか、このオタメガネは軍事しか興味無いもんな」
 金山雅人 「オタメガネって……自分だって十分オタじゃんか…」


オタク系陰陽師の5人が、いつものようにダベっていると、誰かが部屋の扉をノックするのが聞こえた。
5人は一斉にそっちを向く。
すると、扉を開けて現れたのは1年生の女の子だった。


 女の子 「あ、あの……水永先輩は…いますか…?」


女の子はもじもじしながらそう言った。
髪のキレイな、大人しい感じのかわいらしい子である。
水永永示は突然のことにびっくりしていた。


 水永永示 「え…? オイラ?」
 女の子  「はい……あの…今日の放課後……図書室の前に来ていただけませんか…?」


女の子は顔を真っ赤にして言っていた。


 水永永示 「放課後って…もう放課後だけど?」
 女の子  「え、あ、えっと……じゃ、じゃあ今来て……くれませんか…?」


いきなりの来客に、一同唖然としていた。
色恋沙汰には縁の薄い彼らには、女の子自体珍しいものだったのである。
そして水永永示は女の子の心中を察してか、みんなに一言言うとパソコン室を出て行った。
残された4人は当然、この先の展開を話し合うのであった。


 土宮大介 「おい見たか? あれは告白寸前って感じだな」
 柏木健二 「やっぱ水永君はモテるよね。 密かに人気あるし」
 金山雅人 「でもあんまそういう話は聞かないよね」
 火向祐一 「そりゃそうだよ、だって私がいるんだから!」
 柏木健二 「あ…火向君怒ってる?」
 土宮大介 「嫉妬してるんだろ?」
 火向祐一 「…むむむ…そんなこと無いもん……!」
 金山雅人 「あ〜、怒った〜!」
 柏木健二 「火向君は水永君のこと本当に好きだもんね」
 火向祐一 「……私見てくる…!」


そう言うと火向祐一はいそいそとパソコン室を出て行った。


 金山雅人 「あ…行っちゃった……」
 柏木健二 「まあすぐ戻ってくるでしょ」
 土宮大介 「あ……トロイ感染した……ま、いっか……学校のPCだし(笑)」


3人残ったパソコン室に、眩しい西日が差し込んでいた…。



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