序ノ刻
明治の現世にも今尚残る儀式の村。
峻険な山々連なる
幽邃
ゆうすい
なる地に、その村々はある。
三村が互いに近接し、交流の多い土地である。
北の
神代村
かみしろむら
、西の
八角村
やつかどむら
、東の
酉竃村
とりかまどむら
。
其々信仰神を異にする神社を中心とした集落である。
・神代村の神社、
小津女
おつめ
神社。
其の祭神は金を掌る
古杜伊素尊
(コトイソノミコト)。
・八角村の神社、
因波
いんば
神社。
其の祭神は土を掌る
伊禾多禾尊
(イカタノギノミコト)。
・酉竃村の神社、
瑞池
みずち
神社。
其の祭神は水を掌る
天州芦尊
(アマスロノミコト)。
祭神からも分かるように、この土地は陰陽五行を今に伝える。
険しい山々に囲まれたこの三村は、外界との交流は皆無に近い。
そんな外界と隔離された辺鄙の地は、伝統が受け継がれ現世に至る。
これはそんな三村を舞台とした物語である。
久遠の伝統が、儀式が、此処で神の降臨を待望している…。
忌祓ノ刻(壱)
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