もうひとつの目

私の友達は、みんな臆病者

私を見るなり、みんな逃げていくから

友達なのに逃げるのは変だけど、私は気にしない

だって私の顔には、もうひとつの目があるのだから





　　　闇心

暗い夜道を一人歩いていると無性に騒ぐ俺の闇の心

小さな女の子がいれば、いたずらでもしてやりたくなる心

こんな俺の持つおかしな心を、誰も知らない

暗闇に隠れた闇の心は、一生日の目を見ないだろう

　　　闇風

びゅうと鳴る裏庭に、誰かがいるような気がした

ざわざわ鳴る木々が、私の心に話しかけてくる

自然と文明の狭間に生きる私の闇の影が、裏庭にいる

真っ黒なその姿を、私は濁った風の音に見出していた





　　　枯れ模様

緑のスカーフを拾ったこの道

誰のものか分からないその緑のスカーフは、今私の手の中

秋風の走る草の道を、私は涙を流して一人歩いている

私の手の中のスカーフはもう、枯れ葉色をしていた

　　　廃墟

こんなところに誰が呼び出したのだろうか

目の前にあるその存在は、とても不気味なものだった

朽ち果てたその廃墟、天井もすっかり抜け落ちた廃鉱址の大きな遺物

僕をここへ呼び寄せたのは、誰もいないこの廃墟だったのかもしれない





　　　自由人

毎日仕事に追われる生活は、もううんざり

生活する為に仕事をしているのか、仕事の為に生活をしているのか

もう分からない…何もかも生活することが、その意味が…

それももう今日で終わりにしよう…そして空の向こうへ…自由を求めて…

　　　見えない友達

いつもの場所に、見える友達の姿

時計を見ては、まだかまだかと友達を待つ私の友達

すぐ近くにいることに、彼女は気づいてくれない

もう体が無い私には、誰も気づいてくれないのだろう…





　　　ひきこもりの心

将来への不安から、俺は毎日家に引きこもっている

世間では俺らのことを「ひきこもり」なんて呼んでいる

そんなことは俺にとってはどうでもいいことだ

だって俺は、家の中が全ての世界なのだから…

　　　僕

もう僕は、僕でなくなる、明日から

社会人としてスタートする明日は、もう今の僕じゃない

新しい僕であり、希望にあふれた僕である

でも本当は、不安に押し潰された空っぽになった僕なのである





　　　信じあえること

信じあえるよろこびを感じ、私はあなたをもっと好きになった

あなたも私を信じて愛してくれた

二人を邪魔する存在が、この時はいるとも知らずに…

そして今では、あなたの不信に悩む私がいる…

　　　愛

愛する人に振られた今日

もう全てを失った…未来も今も、過去も

愛するあまりに君に愛想尽かされ離れていく君

愛って何？　愛せば愛す程失うものは大きい…





　　　過ぎ去りし言葉

「愛してる」その言葉で胸は一杯だった

「大嫌い」その言葉でも胸は一杯だった

君を失った今ではもう、その言葉も過去の遺物

秋の空を眺めて、今日も過去に溜息をつく

　　　グループの輪

いつも笑顔の友達が、今日は笑っていない

声をかけても無視をする

仲間外れをするのがそんなに楽しい？

こうしてまた、友達が減っていく…





　　　人生の差

一歩先へ行く人と、一歩遅れをとる人

そこには計り知れない差がある

でもその差はすぐにでも取り払うこともできるんだ

それをしないからもっと遅れをとる自分がいる

　　　友達

友達の声が聞こえたから

私は振り返って笑顔を作る

友達も笑顔で別れを言って去って行く

私はいつまで笑顔でいられるだろう…





　　　うれしい日

嬉しいことがあった日は

いつも一人で笑ってる私

家に帰れば家族がいて、学校には友達がいる

幸せを噛み締めながら、今日も友達に感謝する私がいる

　　　弱み

街を行くと通る人みんなが私を見る

何故か分からないけど私の心の奥底を見ようとする

雨の日、晴れの日、雪の日、どんな日でもいつでも

自分の弱さを知っている私だから、見られてるのかもしれない





　　　犠牲

いじめにあって早二年

毎日学校へ行くのが嫌で憂鬱

そんな私にもたった一人だけ心から信頼できる友達がいる

彼女がいじめられないように、私は毎日学校へ行く

　　　冤枉の憾み

怨恨、嫉妬、憎悪…

あいつにはそれだけでは言い足りない程の思いがある

でももうそんなことを思う必要も無い

あいつはもうこの世には居ないのだから…





　　　翳

彼女のことを思うと胸がいっぱいになる僕

かわいくて健気で気が利いて…

でもそんな彼女だからこそ時々思うことがある

彼女の死はこの僕の手で…と