月夜の寝言


美羽「あちぃ…夜だってのになんでこんなに暑いんだ?」

美羽はうちわを煽ぎながら言いました。

雅博「だったらクーラーつければ?」
美羽「それがお母さんに6月中は夜クーラーつけちゃいけないって言われてるんよ…」
雅博「へぇ〜、そうなんだ。 意外としっかりしてるんだね」
美羽「意外とって何だよ」
雅博「あ、いや……でもその言いつけを守る美羽ちゃんも立派だよ」
美羽「そりゃあたしはもう大人だからね。 お兄ちゃんとしちゃったし…
雅博「………」

雅博は何も言い返せませんでした。
いくら美羽の方から迫ってきたとは言え、断れなかった自分にも責はあります。
美羽の大事な操を自分が奪ってしまって良かったのか。
美羽の笑顔を見るとそう思ってしまいます。
雅博がそんな風に思いを巡らせていると、美羽が怪訝そうな顔をして言いました。

美羽「お兄ちゃんどしたん?」
雅博「え? あっ…いや別に……」
美羽「ふ〜ん…まあいいけど……」

そして美羽はベッドの上に寝そべり、足をパタパタさせながら続けました。

美羽「そんなに気にしなくていいよ。 あたしから頼んだことだし…」
雅博「美羽ちゃん…?」
美羽「お兄ちゃんのことだからどうせまたそのことで悩んでるんでしょ?」

美羽にはすっかりお見通しだったみたいです。
雅博はそんな美羽の姿が、とても女らしく見えました。
女らしいというのは、大人の女として見えたということです。
初めての経験をしたというのに今はもうそのことさえもうかがえないいつもの美羽の姿。
女の子はひとつの恋が終わるとすぐ次の恋へ向かえるというのと同じです。
男はいつまでも過去のことを色々思い起こしてしまいます。
今の雅博と美羽もそれでした。
雅博は昼間のことを今でも思い返しているのです。
そういう意味でも美羽の方がよっぽど大人だったのです


 その後、お風呂に入ることにしました。
当然のように美羽も一緒です。

美羽「お兄ちゃん、なんでタオル巻いてるんだよ〜」
雅博「だ、だって……やっぱ巻かないと落ち着かないって言うか…」
美羽「何言ってんだよ〜今更、ほれ、脱がせてやる!」
雅博「わっ! ちょっ! 美羽ちゃん…!!」

美羽が強引に雅博の腰に巻いていたタオルを外しました。
すると、すっかり大きくなっていた息子が姿を現しました。

美羽「わぁ〜、何だよ〜、またおっきくしてる〜!」
雅博「し、仕方ないでしょ…これは生理現象なんだから…」
美羽「こりゃまたしないとダメかもね…」
雅博「えっ!? また!?」
美羽「な〜んてね、ウソだよウソ。 あたしもまだお股痛いし…」

美羽にすっかりからかわれてしまった雅博。
でも心のどこかで残念がっていました。
あの快感に、すっかり虜になっている自分がいることに雅博は気付いていました。
その後、2人はお風呂の中で水をかけて遊んだり色々話をしたりしました。
そして……

美羽「あ〜、気持ちいい〜」

お風呂から上がり、美羽はベッドの上に大の字になって突っ伏しました。
2人ともシャンプーと石鹸のいい香に包まれていました。

美羽「お風呂入った後だから暑い……」
雅博「じゃあクーラーつけちゃえば?」
美羽「……お主も悪よのぅ…」
雅博「いえいえ、お代官様には負けますぜぃ……って何やらすか!」
美羽「お兄ちゃんってノリがいいね」

美羽は面白そうに笑っていました。
いつもの美羽の姿に、何故かホッとする雅博。
言いつけを破り、クーラーをつけると涼しい風が2人を包みました。
その風にしばし吹かれて夢見心地になる2人。
そして、そうこうしてるうちにそろそろ寝る時間になりました。

美羽「おっ、もうこんな時間か…」
雅博「じゃあもう寝ようか?」
美羽「ん〜、そうだな……なんか眠くなってきちゃったし…」

そう言うと美羽はベッドに仰向けになって夏用のかわいらしい布団をかぶりました。

美羽「お兄ちゃんは床でいいよね?」
雅博「うん、寝られればどこでもいいよ」
美羽「じゃ……トイレは?」
雅博「いや、それは……」
美羽「あはは、お兄ちゃん面白い〜!」
雅博「………おやすみ」
美羽「あ〜、寝る前に電気消してよ〜」

こうして2人は床に着きました。
電気が消えると、窓の外に真ん丸い満月が見えました。
外の幻想的な風景に、雅博はしばし見とれていました。
ボーっと外の光を眺める雅博。
そして、やっぱり気になるのは千佳のことでした。
隣で、今何をしているのだろうか。
こんなに近くにいるのに、千佳は自分の存在がここにあることを知らない。
このもどかしさが、何故か不思議に思える雅博でした。
そして、目を閉じ、眠ろうと思ったその時です。
美羽の声が小さく聞えて来ました。

美羽「……お兄……ちゃん…」

雅博はベッドの美羽の方を向きました。
でも美羽はこちらに顔を向けながらもう寝入っていたのです。

雅博「寝言…か……」

雅博は美羽の寝顔を微笑みながら見ていました。
そして、雅博の心はなんとなく温かくなった気がしました。
自分を受け入れてくれた美羽。
いつも変なことばかりしてる美羽ですが、雅博は女の子らしい一面も知っていたのです。
雅博はゆっくりと目を閉じ、月明かりの下、深い眠りへと誘われていきました…。


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