背中越しの幸せ


 テントを組み始めて20分。
四苦八苦しながらもなんとかテントは完成しました。

信恵「ふぅ〜、これで完成だな」
雅博「うん。 思ったより時間かかっちゃったけど何とか完成したね」
美羽「よし、じゃあ寝るか」
千佳「いや、寝ないっての…」
信恵「じゃあテントも完成したことだしその辺散策してみるか」
雅博「あ、いいね〜」
茉莉「ねぇ、この辺って何があるの?」
信恵「え? えっと〜、湖があったっけな」
アナ「湖ですか、是非見てみたいですわ!」
美羽「あの日本で一、二を争う汚さの湖だね」
信恵「そりゃ佐鳴湖だろ。 こんなとこにねぇよ」
美羽「じゃあ何て湖なの?」
信恵「えっ? えと……ま、まあ行けば分かるさ…」
美羽「分からないからって逃げたな」

みんなは必要な荷物以外はテントに置いておきました。
そして歩いて近くを探索することにしました。
近くの緑豊かな森の中に、遊歩道が続いていました。

信恵「あ〜、なんかこう気持ちいいとタバコ吸いたくなるなぁ〜」
雅博「タバコはダメだよ、体によくないし、まだ未成年なんだから」
信恵「はいはい、わかってますって」
茉莉「タバコっておいしいのかな?」
アナ「どうなんでしょう。 見た目はそんなでもないようですけど…」
信恵「お、茉莉ちゃんタバコに興味あるんだ。 じゃ吸ってみる?」
茉莉「えっ…!?」
信恵「はは、冗談だよ。 茉莉ちゃんは大人になっても吸わせたりしないよ」
千佳「お姉ちゃんは茉莉ちゃんの何なんだ?」

みんなで楽しく遊歩道を歩いています。
鳥のさえずりや小川のせせらぎが、みんなの心を自然と癒していました。
雅博も例外ではありません。
大学でいいことが無くても、みんなと一緒、自然の中で癒されているのでした。

美羽「ねえ、湖着いたらサッカーしようぜ?」
信恵「何でこんなとこまで来てサッカーなんだよ……って何でボール持ってきてんだ…?」
美羽「だってどうせ暇でしょ? テレビも無いし夜はどうやって過ごすのよ?」
信恵「早く寝りゃいいんだよ」
美羽「えー? キャンプで早寝って何だよ〜」
雅博「じゃあ何か暴露話でもする?」
千佳「あ、なんか自然教室みたいでいいね〜」
茉莉「ばくろばなし…?」
千佳「うん。 みんなの秘密にしてることを話すの」
茉莉「えー? 秘密を話すの?」
アナ「わ、私は秘密にしてるようなことはありませんので…」
美羽「ウソだ〜、イギリス人のくせに英語が喋れないだろー?」
千佳「いや、もうそれはみんな知ってるから…」

美羽の暴露にアナちゃんは動揺していませんでした。
みんながもう知っていることを話しても暴露話にはならないのです。
美羽が暫くしおれていると、程なく湖に着きました。
森に囲まれたキレイな湖。
湖面には、一面の蒼穹が映っていました。

千佳「わぁ〜、キレイ〜!」
美羽「ホントだよね、佐鳴湖とはえらい違いだよ」
信恵「お前佐鳴湖好きだな」
茉莉「あー、アヒルがいるよー!」
アナ「かわいいですわね」
美羽「美味そうだなぁ…」
千佳「食うんかい!」
雅博「でもアヒルの肉って美味しいらしいよ」
千佳「も〜、お兄ちゃんまでそう言うこと言って…」
雅博「はは、ゴメンゴメン…」

雅博は楽しそうに笑いました。
そして暫く湖畔のアヒルをみんなで眺めていました。
そのユーモラスな動きに、みんな自然と笑顔になっていました。
普段の生活では味わえない、そんな時間でした。


 そして、その後ぐるりと湖を一周しました。
小さな湖なので歩きでも2時間ほどで十分一周することができました。
でも一人だけ、もういっぱいいっぱいの子がいました。

信恵「茉莉ちゃん、大丈夫?」
茉莉「うん……でももう歩けないかも…」
千佳「……どうしよっか…テントまではまだ結構あるし…」
信恵「そうだ、あんた負ぶってやんなよ」
雅博「えっ、僕が?」
信恵「おう。 あんたは男なんだからこういう所でいいとこ見せないと」
雅博「うん、分かったよ」
茉莉「お兄ちゃん…いいの?」
雅博「うん。 じゃあ背中に乗って」

雅博はかがんで茉莉ちゃんが乗りやすいようにしてあげました。
茉莉ちゃんがゆっくり背中に乗ると、茉莉ちゃんの体温が伝わってきました。
柔らかな体の感触が、背中を通して伝わってきます。
微かにちっちゃな胸の感触も分かります。
雅博はその感触に自然と意識が集中していました。
でも意識すると、どうしても下半身の方が反応してしまいます。
それを抑えるのが大変な雅博でした。

雅博「茉莉ちゃんて軽いね〜」
茉莉「え、そ、そうかな…?」
雅博「うん。 これならずっと負ぶってられるよ」
美羽「ずっと負ぶってたいなんて……やっぱロリコンだな」
雅博「なんでそうなるの…」
茉莉「でもお兄ちゃんの背中っておっきいね…」
雅博「えっ!?」

雅博はその茉莉ちゃんの一言にドキッとしてしまいました。
自分を頼りにしてもらっている、そんな気分になれたのです。
そしてその身体は、本当に驚くほど軽いものでした。
小学生の女の子というものを改めて知った雅博でした…。


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