アナちゃんとあだ名


千佳「おまたせー、クッキーできたよー」
信恵「おう、待ってたぞ」
茉莉「わぁ〜、美味しそう〜」
アナ「本当に美味しそうですわ」

みんなはできたてのクッキーに目を輝かせていました。
そしてみんな食べ始めました。

信恵「ん〜、確かに美味いなぁ〜」
美羽「悔しいけど美味いよ」
千佳「何だよ…それ…」
アナ「甘くてこのサクサク感が美味しいです」
茉莉「ホント、千佳ちゃんの作るクッキーっていつも美味しいんだよね」
雅博「ホントだね、これは美味しいよ」
千佳「えへ、ありがと、みんな」

みんなは千佳の作ったクッキーを絶賛していました。
でもそれは、確かに美味しいクッキーでした。
千佳は何度も練習したことでしょう。
それでレシピ本を見ずにもこんなに美味しく作れるようになったのです。
そして5分後……

信恵「ふぅ〜、美味かったな〜」
アナ「はい。 こんなに美味しいクッキーは初めて食べました」
茉莉「千佳ちゃんの作るクッキーはいつも美味しいけど今日のは特に美味しかったよ」
美羽「でももうちょっと塩が効いてた方がよかったかな」
雅博「いや…それじゃあクッキーにならないよ…」
千佳「みんなありがと。 そう言ってもらえると作った甲斐があるよ」

クッキーも食べ終わり、みんなはまたお喋りを始めました。

美羽「あたしは昔からみっちゃんって呼ばれてるでしょ?」
信恵「いきなり何だよ…」
美羽「ちぃちゃんはちぃちゃんでしょ?」
千佳「う…うん……」
美羽「おい、お前ら! あだ名が無いぞ!」
茉莉「えっ?」
アナ「あだ名…ですか?」
信恵「別にいらんだろ……つかあたしはいらんでしょ」
雅博「僕もお兄ちゃんでいいよ」
美羽「ダメ。 ここはちゃんとあだ名をつけるべきだと思う」
千佳「じゃあどういうあだ名をつけるの?」
美羽「あたしはみっちゃんでちぃちゃんがちぃちゃんだから……
   頭の一文字をとってお姉ちゃんとお兄ちゃんは……おっさん」
信恵「誰がだ。 でもまあ確かにあんたはおっさんだな」
雅博「はっ!? 僕はまだそんな歳じゃないって」
千佳「じゃあさ、アナちゃんはどうするの? たった2文字じゃんか」
美羽「何言ってるの? アナちゃんはコッポラって言う立派なあだ名が……」

刹那、千佳とアナちゃんのダブルキックが炸裂しました。
そして美羽は床に突っ伏したままの動かなくなりました。

信恵「コッポラ……アナちゃんの名前?」
千佳「うん……内緒だってあれだけ言ったのに…」
雅博「でもそんな変な名前じゃないよ。 有名な映画監督にもそういう名前の人がいたし」
茉莉「そうだよアナちゃん。 もっと自信もって」
アナ「はい…。 みなさんがそう言うなら…」
信恵「全く、こいつはどうしょもないよな」
雅博「まあまあ、美羽ちゃんも悪気があってやったわけじゃないと思うし…」

信恵は床に突っ伏したまま動かない美羽を睨みつけています。
雅博はそんな美羽をかばうように言いました。
美羽が本当はお姉ちゃんに構ってもらいたい、ずっとそう思っていたことを思い出したのです。

信恵「さて、じゃあトランプでもやるか?」
千佳「あ、いいね〜」
信恵「大貧民でいいか」
雅博「うん、いいよ」
茉莉「私大貧民って苦手…」
アナ「大貧民ってどういう遊びですの?」
信恵「そっか、アナちゃん知らないんだ。 じゃああたしらがやるの見て覚えなよ」
アナ「は、はい」
信恵「おい美羽、いつまで床に突っ伏してるんだ〜。 大貧民やるぞ〜」
美羽「ラジャー!!」
千佳「立ち直り早っ!」

こうしてみんなで大貧民をすることになりました。
アナちゃんはルールを覚えるためにベッドの上で見学です。
千佳の机に引き出しの一番上からトランプを出し、そして5人に配る信恵。
5人全員に配り終え、いよいよゲーム開始です。

千佳「あ、私からだ……えと…じゃあ3を2枚」
信恵「そんじゃあ……6のダブル」
茉莉「えと……7を2枚で」
美羽「なんだと!? ぬぅ〜…じゃあAのダブルだ!!」
雅博「うっ………パス…」
千佳「私もパス」
信恵「パス」
茉莉「私も…」
美羽「ハーハハ、大富豪になるのはこの美羽様なのだー!!」
信恵「いいから早く出せよ」

こうして1ゲームが楽しく終了しました。
アナちゃんはだいたいゲームのやり方を覚えたようです。
その時、ちょうど部屋の時計が12時を差していました。
雅博は千佳の隣で、小さな幸せを感じていました。


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