パソコンと小学生


 美羽から無事に秘蔵本を取り戻し、なんとか落ち着きを取り戻した雅博。
みんなにグラスを渡し、ジュースを勧めます。
グラスにジュースを注ぐ音が、気持ちよく部屋に響きました。

雅博「それじゃあ何かしようか?」
美羽「何を?」
雅博「う〜ん…そう言われると困るな……」
千佳「お兄ちゃん、レポートやらなくていいの?」
雅博「あ、そうだった。 でも一人でやってるってのも…」
千佳「私たちなら平気だよ。 適当に遊んでるから」
雅博「そう? じゃあゲームでもパソコンでもやってていいよ」
美羽「パソコンなんてあるのか? 最近の若い者は贅沢だな」
千佳「あんただって十分若い者だろ…」
茉莉「えと……い、インターネットってできるの…?」
雅博「え? あ、うん、出来るよ」
茉莉「私前からインターネットってやってみたかったんだ…」
千佳「あそっか…茉莉ちゃん5年生だから学校でもまだやってないんだね」
美羽「うん、家のパソコンはお父さんの仕事用のだから使えないんだ…」
雅博「へぇ〜、最近の小学生は学校でインターネット使うんだね。 なんか驚き…」
美羽「お兄ちゃんが小学生の時代は電気すらなかったもんね?」
雅博「いや…それは……。 ちゃんとパソコンだってあったんだからさ」

雅博は微笑を浮かべ、コタツに向かいレポートを書き始めます。
そんな姿を3人は見つめています。

千佳「お兄ちゃんが小学生だったのって何年前?」
雅博「えっと…6年生だったのは……10年前だね」
千佳「10年…!? 私たちまだ赤ちゃんだよ…」
茉莉「私が生まれた次の年だ…」
美羽「年の差を感じるな〜」
雅博「うぅ……」
美羽「そんなことよりレポートやらなくていいの?」
雅博「そうだよ……じゃあみんな遊んでてね」

雅博はそう言うと再びレポートに向かいます。
先週の大学の講義で出された観光概論のレポート。
第一週目の最初の授業ということで講義自体はガイダンスだけで終わったのに宿題が出る理不尽さ。
雅博は心の中で溜息をつきながら筆を進めて行きます。
女の子たちはどうやらパソコンを始めたようです。
Windowsの起動音が聴こえてきます。
なんとなくそちらに耳を傾けていると、大変なことを思い出しました。
それは、パソコンの壁紙です。
雅博の大好きな某エロゲの壁紙だったのです。
そして、雅博が慌てて止めようとしましたが、もう手遅れでした…。

千佳「えっ…!?」
茉莉「きゃっ…!」
美羽「おお〜…」
雅博「こ、これは違うんだよ…!」

そこにはすっかり全身を露にした美少女キャラが何人も構えていたのです。
2次元であるとはいえ、人間の姿形で描かれた彼女たちを、女の子3人が認識するには十分な時間でした。
一糸纏わぬその姿。
モザイクがかかってはいますが、小学生の女の子たちには余りにも刺激が強い壁紙。
雅博が慌てて画面を隠しますが、もうすかり女の子たちは頬に紅葉を散らしていたのです。

千佳「お兄ちゃん……今のって…」
雅博「こ、これはその……と、友達が勝手に設定して…」
美羽「友達いないじゃん、お兄ちゃん…」
雅博「うっ……」
美羽「やっぱりお兄ちゃんってエッチでロリコンでアキバ系だったんだ…」
茉莉「………」
雅博「そんな目で見ないで……」

みんなの目が怖い雅博。
今度こそ嫌われた…そう思っていた雅博。
けれども女の子たちはそのすぐ後にはいつものように笑っていたのです。

千佳「もう……お兄ちゃんってホントそういうの好きだよね…」
美羽「人の趣味を悪く言う気は無いけどちょっと悪趣味だよね…」
茉莉「びっくりした……」
雅博「ご、ゴメンね……ログインパスワードでも設定しとけばよかったかな……」
千佳「まあお兄ちゃんも男の子だもん…ああいうのにも興味持つのもしょうがないよ」
雅博「千佳ちゃん……そう言ってもらえると気が楽だよ…」
美羽「でもあの絵は無いよね。 だってあの女の子たちってあたしたちと同い年くらいじゃん?」
雅博「……うぅ……やっぱり僕の趣味って変かなぁ…」
千佳「だ、大丈夫だよ……もっと変な趣味の人もいるし、お兄ちゃんは普通だよ…」
美羽「普通の人は壁紙にあんな絵なんて設定しないだろ」
千佳「ちょっとみっちゃん…」

みんなに変な趣味が露呈されてしまった雅博。
もう立ち直れないほど落ち込んでしまいました。
大好きな千佳に情けない部分を見られてしまったようですっかり消沈してしまう雅博でした。

千佳「ね、ねえお兄ちゃん…インターネットやらせてよ」
雅博「……うん…じゃあ壁紙変えるよ…」

雅博は恥ずかしながら壁紙を無難なWindowsの初期設定の壁紙に変えました。
そして茉莉ちゃんのために簡単なインターネットの使い方を教えてあげました。
その後、気を取り直してレポートに向かいます。
すっかりやる気を削がれてしまいましたが、気合を入れて始めました。
レポート用紙に次々と綴っていく雅博。
女の子たちは時折黄色い声をあげて楽しそうにインターネットをやっています。
雅博は、そんな彼女たちの声を聞きながら色々なことを考えていました。
女の子たちと仲良くなったこととか千佳のこととか…。
偶然出逢った少女たちと、こんなにすぐに打ち解けられたことが不思議でなりません。
それに千佳や美羽とのエッチな体験。
現行法では違法行為であるあんなことやこんなこと。
そのプレッシャーにも、押しつぶされそうになることもありました。
その中でも最も雅博の心を悩ませていたのが千佳のことです。
どうすればこの思いが伝えられるのか。
いっそのこと直接告白しようか…。
するとしたらいつすればいいのか…。
もし断られたらもう今までのような関係は崩れてしまうのか…。
恋愛経験の少ない雅博には、余りにも荷が重い悩みでした。
そんなこんなでレポートをやっていると、なんとか1時間もしないうちに終わりました。
雅博はしばらく、横目で楽しそうにパソコンに向かう少女たちを見つめていたのです…。


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