おうちへご招待


 午前中、ゲームやお話をして楽しい時を過ごした雅博。
そろそろ帰ろうと立ち上がりました。
夢のような1日を過ごした雅博。
今度は現実に帰らなければならないのです。

雅博「えと……そろそろ帰るよ」
千佳「え、帰るの?」
信恵「別に夜まで居ても平気だぞ?」
雅博「うん…そうしたいのは山々だけどレポートとかあるし…」
千佳「そっか……」
信恵「大学生も大変なんだな〜」
美羽「あたし手伝ってあげよっか?」
雅博「え…? 気持ちはありがたいけど美羽ちゃんには無理だよ」
美羽「なんでだよー、この美人の美羽ちゃんじゃあ役不足って言うのか?」
信恵「役不足の使い方間違ってるぞ…」
雅博「そういうんじゃないけど……数学なんて分からないでしょ?」
美羽「すうがく? ああ、算数に毛が生えたやつか。 そっか…じゃあ残念だな……」
雅博「でしょ? 気持ちだけありがたくもらっとくよ」
信恵「でもどうしてそこまで手伝いたいんだ?」
千佳「だよね? 普段なら手伝ってって言っても嫌々手伝うくせに…」
美羽「いいじゃんかよ〜、たまにはあたしだって誰かの役に立ちたいんだよ」
雅博「そっか……じゃあ良かったら僕の家来る?」
美羽「え?」

雅博が家に招待すると、美羽は驚いたような顔をしました。

雅博「どうせ家に帰ったら一人だし。 良かったらみんな来る?」
千佳「え、いいの?」
茉莉「私もいいの…?」
雅博「もちろんだよ。 お姉ちゃんも来るでしょ?」
信恵「あたしはいいや。 あたしも宿題あるし夜からバイトだし」
雅博「そうか、残念だね。 じゃあ他のみんなは大丈夫?」
千佳「うん、私は大丈夫だよ」
美羽「あたしもバリバリオッケー」
茉莉「あ…私はお母さんに聞いてみないと……じゃあ電話してみるね」

そう言うと茉莉ちゃんは小さな可愛らしいバッグから携帯電話を取り出しました。
そして電話を掛けるとお母さんと話出しました。
と、ここで雅博はとんでもない状況になろうとしていることに気が付きました。
もしここで茉莉ちゃんがお母さんに雅博の家へ行くことを言ってしまえば、
雅博の存在がみんなのお母さんにばれてしまいます。
そうなれば我が子を狼から守るべく母親たちも黙ってはいないことでしょう。
その母親たちとある程度知り合いになれれば信用されるでしょう。
けれども、未だ面識の無い状況では、ヘタをしたら警察沙汰にもなりかねません。
雅博は心の中で悪い方向へ行かないように祈っているのでした。
そして茉莉ちゃんの電話が終わったようです。

千佳「どうだった?」
茉莉「うん、いいって」
雅博「本当!?」
茉莉「うん…」

茉莉ちゃんの言葉を聞いてホッとする雅博。
どうやら雅博の杞憂に過ぎなかったようです。

雅博「それじゃあ…行こうか?」
千佳「うん!」
茉莉「はい…」
美羽「ラジャー!」
信恵「気をつけてな〜」

みんなは千佳の部屋を後にしました。
そして玄関のドアを開けると、暖かな風が吹き抜けました。
午後の日差しが、心躍るように感じる雅博でした。
住宅街の狭い道を、4人並んで歩いてゆきます。
春の野山に咲くお花のようなかわいらしい女の子たち。
そんな彼女たちと一緒に歩く大学生の雅博。
傍から見ればさぞや怪しい光景に見えることでしょう。
雅博はそんなことも気にしながら、女の子たちと歩いてアパートへと戻ったのです。
雅博のアパートは2階建ての2階にあります。
雅博と女の子たちは、雅博の部屋に入っていきました。

雅博「どうぞ、あがって」
千佳「おじゃましま〜す」
茉莉「おじゃまします…」
美羽「どうぞどうぞ」
千佳「いや、あんたの家じゃないでしょ…」

女の子3人は部屋に通されると、適当な場所に腰を下ろしました。
雅博の部屋は6畳間、決して広くはありません。
4人コタツの周りに4人座るとそれだけでもう部屋が一杯に感じてしまいます。

雅博「みんななんか飲むでしょ? コーラやサイダーやオレンジがあるけど何がいい?」
千佳「あ、じゃあ私コーラで」
茉莉「じゃあ私はオレンジ」
美羽「あたしは牛乳ね」
雅博「ぎゅ、牛乳?」
美羽「おう、たくさん飲めばボインになるって言うから」
雅博「……了解」

雅博はみんなの注文を受けると、冷蔵庫からジュースや牛乳を取り出しました。
そしてグラスに氷を入れ、運びます。

雅博「おまたせ〜……って、また見てるし!」
美羽「お兄ちゃん、また同じとこにエッチな本隠してるし」
千佳「……」
茉莉「………」
雅博「だからこういうのは子供の見るもんじゃないの!」
美羽「あたしはもう子供じゃないよ」
雅博「ウソ言わない、まだ子供料金でバス乗ってるでしょ」

雅博は美羽の持っていた秘蔵の本を取り上げました。
千佳も茉莉ちゃんもちょっと恥ずかしそうにしています。
女の子たちのそんな反応が、楽しい雅博でした。


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