千佳のココロ


 雅博と美羽はみんなのいる千佳の部屋に戻ってきました。

美羽「ただいま〜」
千佳「あ、おかえり〜」
信恵「二人で入って何してたんだ?」
美羽「えっ? 何って……ねえ、お兄ちゃん?」
雅博「え!? うん、別に何もしてないよ……」
信恵「ふ〜ん……ま、そりゃそうだろうな」
千佳「お姉ちゃん…何期待してたの…?」

そしてベッドに座る千佳の横にさりげなく座る雅博。
そんな雅博に信姉と茉莉ちゃんは気付いていないようですが、千佳と美羽は気付いたようです。
千佳は、ちょっと距離を置いた隣に座る雅博の方をちらっと顔を赤らめて見ました。
そして美羽はそんな2人の様子を含み笑いで見ていたのです。

信姉「これで風呂入ってないの千佳だけだな」
千佳「うん。 それじゃあ私入って来ちゃうよ」
美羽「あたしも一緒に入ろっか?」
千佳「いやいいよ……ってかあんたはもう入っただろ…」

そう言うと千佳は部屋を出て行きました。

美羽「お兄ちゃん、ちぃちゃんと一緒に入りたかった?」
雅博「えっ!? …そ、そんなことないよ……」

ちょっといたずらに言う美羽。
そう言った美羽を笑いながら睨む雅博。

信恵「ん? もしかしてあんた千佳のこと好きなのか?」
雅博「えっ……!?」
美羽「うん…違うよ……」
信恵「…?」

雅博は否定しましたが、美羽は危うく肯定してしまうところでした。
あと一歩で信姉や茉莉ちゃんにも千佳のことが好きだとばれてしまうところでした。
雅博の熱くなった顔を、春の夜風がやさしく冷ましていくのでした。
そしてお風呂に入っている千佳は……

千佳(ふぅ〜……なんか変な感じになっちゃったな…)
  (お兄ちゃん……本当に私のこと好き…なのかな……?)


千佳は雅博のことが気になっているようです。
自分に好意を持っている、ということにイマイチ実感が湧かないようです。

千佳(でも私なんかのどこがいいんだろ……)
  (頭もそんないいわけじゃないし運動もできる方じゃないし顔だってパッとしないし……)
  (でもまだ好きだって直接言われたわけじゃないし……)
  (今までこんな経験ないもん……どうしたらいいんだろう……)


千佳は色々と考えを巡らせているようです。
今まで男の子から好意を寄せられるといったことが無い千佳。
どうしていいか分からないようです。

千佳(まあとりあえず真意を聞いてみないとわかんないから……)
  (今気にしてもしょうがない、あんま気にしないようにしよ…)


湯船につかりながら、千佳は初めての経験に答えを見出しました。
あまり気にしないことにしたようです。
無理に答えを出そうと思っても、答えは見つからないと思ったのです。
一方、千佳の部屋では4人でテレビゲームを始めたようです。

信恵「あっ! てめぇ、卑怯だぞ!」
美羽「勝負の世界に卑怯もらっきょうも無い」
雅博「どっちも頑張れー!」
茉莉「お姉ちゃん頑張って〜」
美羽「茉莉ちゃん、どうしてあたしは応援してくれないんだよ〜」
茉莉「え…だって美羽ちゃんずるいんだもん」
信恵「ほれ見ろ、茉莉ちゃんだってずるいって言ってるだろ」
美羽「何だよ、いいじゃんかよ〜、マ○オカートのバトルの基本は待ち伏せなんだから」
信恵「いや、お前の場合は待ち伏せじゃなくて試合放棄だろ」
美羽「まあまあ、ゲームなんてそんなもんだよ」
信恵「お前にだけは言われたくない」

ゲームは盛り上がっているようです。
その後も順番にゲームをしていく雅博たち。
そして暫くゲームをしていると、千佳がお風呂から上がってきました。

千佳「上がったよ〜」
雅博「おかえり〜」
信恵「おう、これで全員風呂入ったな」
千佳「……みっちゃん何してるの…?」

目前に展開されている状況が読めず、。千佳が訊ねました。
そこにはブリッジを辛そうにやっている美羽の姿があったのです。

信恵「いやな、こいつがバトルで負けたやつがブリッジするって勝手に罰ゲームにして」
千佳「…それでみっちゃんが負けたんだ…」
美羽「うん……ちぃちゃん…た…すけて……ぐぅ〜…」
千佳「いや辛いならやめりゃいいじゃん……」
信恵「10分間やるんだってよ」
千佳「あ…そう。 じゃ頑張って」
美羽「そんな……ち…ぃちゃん……ぐ…ぐぅ……」

キャミソール姿の美羽が、一人だけブリッジしている姿はなんとも滑稽です。
雅博は笑いを堪えながら信姉と茉莉ちゃんがやってるゲームを見ていました。
千佳はベッドの上に横になると、お気に入りのマンガを読み始めました。
千佳の部屋に女の子4人、男1人。
やっぱり場違いに思いながらも楽しいひと時を過ごす雅博でした。


      前へ  一覧  次へ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送