ふたりのヒミツ


 お風呂場には、シャンプーの香りと湯気がまだ残っていました。
壁はタイル張りで、所々にアヒルやお花といった可愛らしいシールなんかも張ってありました。
美羽はすぐさま湯船に飛び込みました。
するとその飛沫が雅博にぴしゃりとかかりました。

美羽「あ〜、気持ちいい〜〜」

美羽はいかにも気持ちいいという表情で目を瞑って言いました。
そして居場所の無くなった雅博が言います。

雅博「えと…僕も湯船に入っていいかな?」
美羽「え…? お兄ちゃんは先に体洗って……って、何でタオル巻いてるんだよ〜!」
雅博「だって…女の子の前で丸出しなんて出来ないよ…」
美羽「いいから早くタオル取ってよ」
雅博「無理! ダメだって!!」

雅博は強く断りました。
本当は見せたい気持ちもあるのですが、すっかりエレクトしてしまったものを見せるわけにはいきません。
美羽のことです。
ヘタしたらお風呂から上がったらみんなに言ってしまうことも考えられます。
そうなってしまったらもう一緒に遊んだり、こんな風にお泊りとかが出来なくなってしまい兼ねません。
信姉にひどい目に遭わされるかもしれません。
千佳に軽蔑されるかもしれません。
そうなってしまったら、もう雅博はお終いなのです。
そう思うとどうしても見せるわけにはいかないのです。

美羽「まあいいや。 お兄ちゃん先に体洗っててよ」
雅博「……う、うん」

そう言われ、雅博は先に体を洗うことにしました。
洗髪用のイスに腰を掛け、そして石鹸を手に取ります。
其の様子を美羽が湯船につかりながらじっと見つめています。
股間の膨らみが見つからないように、ちょっと体を窄めて石鹸で体を洗い始めました。
そして暫く静かな時間が流れた後に、美羽がこんなことを口にしました。

美羽「お兄ちゃん……」
雅博「ん……何?」
美羽「……あたしね、前からずっと兄弟が欲しかったんだ…」
雅博「…え?」

体を洗っていた雅博は、その言葉にちょっと驚きました。
美羽の口から、こんな言葉が出るなんて思っても見なかったからです。

美羽「だから昔から信恵お姉ちゃんのことを本当のお姉ちゃんだと思ってたの」
雅博「……そうなんだ」
美羽「でも信恵お姉ちゃんはあたしのことは嫌いみたいなんだ…」
雅博「え…? そんなこと無いと思うけど…」
美羽「でもあたしのこといつもひどい扱いしたり茉莉ちゃんばっかり可愛がったりしてさ……」
雅博「う〜ん…そうかな……?」
美羽「だからあたし構って欲しくて変なこととかしてるんだよ…」
雅博「………」

雅博は返す言葉が見つかりませんでした。
美羽と会ったのもついこの間です。
本当にまだ短い時間の付き合いです。
でも、何度か一緒にいることがあってお互いのことが段々と分かってきました。
雅博から見た美羽は、確かにいつも変なことをしてみんなに迷惑かけてる印象が強かったのです。
けれども、その裏には一人っ子が故にお姉ちゃんに構ってもらいたい、という思いがあったのです。
それを思うと、ちょっと心がキュンと鳴った雅博。

美羽「でもこの間、お兄ちゃんに出会ってなんか嬉しくなっちゃったんだよ…」
雅博「えっ…?」
美羽「お姉ちゃんもいいけどお兄ちゃんも昔から欲しかったから」
雅博「そうなんだ……」
美羽「だから今日、お兄ちゃんと一緒にお風呂に入りたかったの……」
雅博「……そっか…だから一緒に入るって言ってたんだね?」
美羽「うん……」

美羽の話にすっかり引き込まれてしまった雅博。

雅博(そっか…いつの間にか僕のことを『お兄ちゃん』って呼んでたのも……)

そう思っていた雅博。
体を洗う手を止め、真剣に話す美羽を憐憫の眼差しで見ています。
雅博が美羽でもこんな真剣に悩むこともあるんだなと思っていた時です。

美羽「あっ、今のはみんなにはナイショにしてよ?」
雅博「え…あ、うん……」

美羽はちょっと頬を紅潮させて言いました。
みんなに、このことが知られるのが恥ずかしいのでしょう。
その辺の気持ちを斟酌してヒミツにしてあげようと思う雅博でした。
と、美羽が安堵したと思った次の瞬間!
美羽の顔はいつもの顔に戻っていたのです。

美羽「さっきから気になってたんだけどさ、そこどうして膨らんでるの?」
雅博「え……?」

美羽が指差していたのは、紛れも無い雅博の股間でした。
いくらタオルを巻いているとはいえ、すっかりエレクトしたその姿は隠せなかったのです。
上を向いているそれは、すっかりタオルを押し上げているのでした。

雅博「わわわ…だ、ダメだよ見ちゃ!!」
美羽「それって…ぼっきって言うんでしょ?」
雅博「……どうしてそれを…?」

美羽はやや恥ずかしそうにしながらも平然とその言葉を口にしました。
それを指摘され、雅博はただただ慌てるばかり。
そして美羽は答えました。

美羽「どうしてって…学校で習ったんだよ」
雅博「学校で…?」
美羽「うん。 男の人がコーフンするとおっきくなるんだって」
雅博(全く…最近の小学校ではどこまで教えてるんだ…? 僕の時代はそういうのは中学でやったのに…)
美羽「もしかしてあたしの裸にコーフンした?」
雅博「ぷっ! そ、そんなこと……」
美羽「じゃあどうして? なんでそんなになってるの?」
雅博「そ、それは……」
美羽「まあ気にしなくていいよ。 みんなには黙っててあげるから」
雅博「……これは違うんだよ〜…」
美羽「さっきの事みんなには言わない代わりにあたしもこの事はみんなにはナイショにしてあげる」
雅博「…うう〜……」

すっかり美羽のペースに流される雅博。
美羽には二面性があることに気をつけなくちゃと改めて反省する雅博でした。


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